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4月26日 歌会記録

もう6月ですね。
4月26日の歌会記録書きます、西改です。
いつの話をしているんだ…。遅くなりまして、本当にすみません。
この日は自由詠のみの歌会でした。

ついてる、とさくらを払う少年の肩に洗礼は来たりけるかも/佐原キオ
繊細な雰囲気の歌でしたが、読みはかなり分かれました。まず浮上したのはこのさくらは誰についているのか問題。
「ついてる」というぐらいですから他人の桜を少年が払うように思えますが、そうなると下の句で少年の肩に注目するのがやや不自然な感じがします。どうしても桜が乗っていた他人の肩に思えてしまう。一方、少年が自分で自分の肩の桜を「ついてる」って払うのもなかなか考えにくかったり。このあたりがはっきりすると景が定まったかなと思います。
また、「洗礼」という言葉に対して聖的なイメージを持つ人と暴力的なイメージを持つ人がいてそれによっても読みが分かれたようでした。

旅人に似合った町の猫として遊びではない恋をしている/安錠ほとり
「町の猫」であるのは確かですが、「旅人に似合った」が町を形容するのか猫を形容するのかで微妙にニュアンスが変わる印象でした。「旅人に似合った町」であれば、そういった人の出入りが激しい町で育った猫が、自分はこの町の中でずっと恋をしているというような読みもできますし、「旅人に似合った猫」であればやってきては行ってしまう旅人の隣にいられる猫として、その時間の短さを理解したうえで行きずりではない恋をしているのだというようにも読めます。
どちらにせよ微かな切なさが漂う歌で、「似合った」の過去形表現が効いているのかなと思いました。猫は人かもしれない。

日向だけ踏み踏み笑うそれですか一目惚れしたワンピースって/小川優
こちらは今年からはんたんに入ってくださった小川さんの一首。一読して、眩しさのあふれるとてもかわいい歌だと思ったのですが、みんなで読んでいくうちにそれだけではない雰囲気も感じられました。
かわいい音に対して「踏み踏み」と漢字を繰り返す硬い表現や「それですか」のやや距離のある表現からテンションによってはそこに負の感情が表れてくるように思います。日向だけを器用に踏む相手とそこに一緒に入っていない自分。ワンピースには一目惚れ(相手の心)が向いていること。深く読むと様々な可能性が生まれてきて面白い歌です。

寝室の秘密結社を抜け出して麻薬のような真夜中の水/山田誠久
単語ごとの親和性がよく、ドライブ感が生きた歌でした。
「抜け出す」ってことはまだ寝室に結社の仲間がいるのでしょうか。明記はないですがどことなく二人で(一人ではない)抜け出している感じがあるので、親の目を盗んで冒険する子供たちみたいな読みも出たと思います。
下の句がやや抽象的かと思われましたが、真夜中の独特の空気感を真夜中の水とする読みや、水という無色透明な普通の液体でも真夜中であることにより酔えてしまう、麻薬のような作用を持つんだという読みが出てなるほどと思いました。

ワープする場所間違えたみたいです、雨もこっちに連れてきてしまって/竹村美乃里
こちらも、今年からはんたんメンバーの竹村さんの歌。ファンタジックでありながらどこかで起きていそうな、誰もがイメージできる世界観の歌です。個人的に、ファンタジックな歌は言ってることはわかるけどなんでそうなったかよくわからない、みたいな歌も多いと思うのですが、この歌はきちんと読者を置きざりにしないバランスが取れている気がします。
雨を連れてきてしまったのは、場所を間違えたことに加えて想定外のミスなのか、本当は雨の降る地域に出るはずだったのに間違えてしまったから余計なものになってしまったのかという話をしました。最後の字余りも「今日うまくいかないなぁ」という雰囲気が出ていて効果的だという意見がありました。
ワープに限らず、こういうことありますよね。よかれと思ってやったけど、タイミングを間違ったために余計悪くなってしまうかんじ。ある種の現実感がうまく含まれた歌だと思いました。

他に西改の歌があり、計6首の歌会でした。
近日中にもう一回分、時空の歪んだ記録を書きます。

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4月28日のうたかいきろく


4月28日に歌会をしました。司会はカルルスをおいしく食べる安錠でした。
今回は自由詠のみです。


図書館の窓には花色のみどり本はスイカの匂いがします/西改美希
 「花色のみどり」が何を表しているかという話をしました。花びらに緑色が入っている、花の色(桃や白など)をした植物、花が咲いていて緑色の葉があるなどかなということになりました。
 「みどり」「スイカ」の語から、さわやかで夏の予感があります。文庫の夏フェスなど、ポスターに書かれていそうです。


たんぽぽをふーっと吹いてたんぽぽのてんとう虫もふーっと吹かれて/竹村美乃里
 シンプルで面白いです。ひらがなが多く、雰囲気がまとまっています。蒲公英や天道虫だと強そうです。
 「たんぽぽ」が二回出てくるので、黄色っぽく感じたのですが、吹くなら綿毛で白かと思うと不思議です。花の上にいたてんとう虫を吹き飛ばすこともできますね。
 

さびしさを知らないウサギ肉を食う春の魔法が解けないように/安錠ほとり
 ウサギが肉を食うのかウサギの肉を食うのか区切りがわかりにくいという指摘がありました。肉によって、例えば寂しさを感じにくくなるとか、春の魔法が延長されるのではないかということになりました。
 ちなみにとあるゲームのイースターイベントの衣装が可愛かったです。


他には鈴木さんと佐原さんも歌を提出してくれました。
以上です。

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4月19日のうたかいきろく

4月19日にカルチエで歌会をしました。司会は安錠ほとりでした。
ゲストさんが一人来てくださって、にぎやかな歌会でした。ありがとうございました。
今回歌の一覧をかわいいフォントで印刷したため全体的に歌にかわいい雰囲気が出たようです。


テーマ詠
 テーマ詠は4月19日の419が飼育ということで「動物園」でした。


※爬虫類館のガラスは消えません。あなたもわたしもよく見るヒトです。/西改美希

 「※」が注意書きなどの立て看板っぽいですね。
 「よく見る」を「よく世界中で見られる」とする読みと「じっくりと観察する」とする読みもありました。後者ではその看板を見つけて読めたからヒトってことかもしれないです。
 「ヒトです」は「ガラスを消せるような魔法使いではなく」とか「爬虫類ではなく」の意味という意見が出ました。前者に関してはハリーポッターの無意識に魔法でガラスを消したシーンを思い出した人が数名いました。後者では爬虫類ではないから仲間としてガラスの向こうにいけないのかもしれないです。


つやつやの雨の動物園のなか獣たちの眼ばかり見えるね/竹村美乃里

 「つやつやの」は一見すると「雨」だけにかかっていそうなんですけど、読んでいくうちに「動物園」「獣たちの眼」にもかかっているように感じられます。一首通してまとまっていてきらきらしています。
 雨の日は園内に人が少なくて、動物のほうが黒目が大きい気がするのでより印象的になりそうです。動物も展示場所の奥に引っ込んで艶のある目を見やすいという意見もありました。


皐月晴れ犀(さい)の鱗の干涸びて 父は田植えを終えたでしょうか/ゲストさん

 「鱗」はサイの体表の皮のひび割れた感じじゃないかということになりました。実際にそう表現するのかは不明です。そのひび割れているのは水を抜いた田と似ています。しかし田植えの時は水があるので、どっちを想像したらよかったのでしょうか。
 「皐」「犀」の字が似ていて、「皐」の字が四足の動物の死体の象形文字で、沢や沼地の意味があるらしいので歌全体とあっています。要素とか情報の量がちょうどよくまとまっています。


宵闇はいずこより来るエンジンの音いつまでもいつまでも ZOO/佐原キオ

 「音いつまでもいつまでも」のリズムが良いです。
 何のエンジンの音だろうという話になりました。バイクやヘリコプター、バスやトラック(いすゞが望ましい)といった乗り物とか、機械音やモーター音という意見も出ました。
 「ZOO」が動物園であることだけでなく、余韻や音が遠ざかっていくような様子であることを感じられます。映画のラストシーンみたいです。


さっき見たホロホロチョウを探してる図書館の真ん中に剥製/安錠ほとり

 剥製はホロホロチョウのものか、図書館は動物園のものかわかりにくいという意見が出ました。個人によって想像しやすい動物園って異なるので共有は難しいです。
 「真ん中」と言い切るところや本当にホロホロチョウがいると思って探しているならピュアな感じがします。ホロホロチョウは見た目や名前がおいしそうで実際おいしいらしいので自分は好きです。


東洋の春冷ややかに訪れて象舎の桜・キリン舎の雨/鈴木加成太

 象と桜の関係って何でしょう。鼻と花、灰色だから花咲か爺さんなどの説が出ました。
 桜と雨が両方とも象・キリンの近くにあるのか象にだけ両方あるのかなど話しました
 「東洋」について、インドに象はいてもキリンはアジアには住んでいなさそうです。どちらも生息していたところに雨と桜が共存できる東洋的な春がないということではないかということになりました。


命とか宇宙のおわりってたぶん、閉園間近の象のうんこ/山田誠久

 穂村弘さんの「サバンナの象のうんこよ聞いてくれだるいせつないこわいさみしい」を思い出した人が複数いました。でもサバンナの象とは違ってこの象は野生ではないからか頼りない気がします。
 この閉園は毎日か廃業なんでしょうか。命の終わりはいくつもあって宇宙の終わりは一個くらいしかなさそうなのでどちらでもあるのかもしれません。
 最後に音が足りないのがぽつんとしたあっけない感じします。


憐れみの目は生ぬるく絡み付く午前三時の獣舎の前で/守島牧緒

 誰の誰に対する憐みの目かという話をしました。動物の飼育員に対する、飼育員の動物に対する、人の人に対する、動物の動物に対するなどいろいろ考えられました。人視点だけでなく動物視点でもあって、あらゆる憐みの目が絡み付き合ってるかもしれません。
 営業時間中だとお客さんのかわいいとかかっこいい、こわいとかの目が多くて邪魔なので、閉まってからじゃないと憐みの目は絡み付けなさそうです。


自由詠

とろとろに春の顔した海から目細め見あげるファミリーマート/ゲストさん

 位置関係に謎がある歌でした。海が春の顔だとわかるならば、海のほうを向いていてファミリーマートには向けないのではないか、船の上にいるのではないか、ファミリーマートが海にあるなどの意見が出ました。
 他にもコンビニはいっぱいある中でなぜファミリーマートかという話をしましたが、緑色と青色の組み合わせは春の風景にとてもあっていて素敵だと思います。


恐らくは午後から雨だくたくたの子猫を積んで、積んで、積む夢/守島牧緒

 雨だ/くたくた、と意味は切れるんじゃないかと思うのですが、だくたくた、とつなげて読みたくなってきます。
 午後から雨が降るから子猫を積んでいる夢なのか、夢から覚めて午後から雨だと思ったのか、どこからどこまでが夢だったんでしょうか。全体的に落ち着いた薄暗い雰囲気があります。「積んで、積んで、積む」の連続が悪夢で追い詰められているようです。


壁にキスする一線は越えてない準満員電車内木曜/西改美希

 「一線は越えてない」というのは、まだ満員じゃない、人に対してじゃないから大丈夫、電車に対してキス以上のことはしていない、キスするほどの苦しさではないなど分かれました。77の言葉の組み合わせが面白いです。
 電車のパーツにキスをするならどこがいいという話がありました。手すりや広告などが候補に上がりました。


理由なら恋人で十分だろう夜の海へときみを沈めた/山田誠久

 どうも過去に山田さんが歌会で出した歌であるらしく、昔の山田さんの歌っぽいそうです。
 沈めて殺したのか、殺していないのかの話をしました。殺した後にそういえば恋人だったからそれを理由にしたのかもしれないし、ふざけて沈めて遊んでいるのかもしれないです。


他にも佐原さんと安錠が歌を提出しました。

以上です。

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20170413歌会記録

こんにちは渡邉です。

4月13日に歌会をしたので、その記録です。

自由詠

梟に寿命とその先の処分を花言葉口調で告げられた 安錠ほとり

花言葉口調ってなんなんですかね。
花言葉って、「初恋」「別離」「愛の告白」みたいな名詞系もあれば、「あなたと一緒なら心がやすらぐ」「私にさわらないで」「あなたしか見えない」みたいな話し言葉系もあるわけですが、この花言葉口調はどっちなんでしょうか。
僕は前者かなと思いました。「血の池地獄」みたいな。

降りかかる白さを春と呼んだ日のドイツ訛りのきみのそねっと 山田誠久

山田が研究室の先輩(ドイツ人?)に短歌やってるって言ったらソネットを作ってくれたみたいな話だったと思う、確か。



あと鈴木さん、西改、渡邉の歌が提出されましたが非公開です。残念。

よいゴールデンウィークを。

04

26

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4月17日歌会記録

4月17日の歌会記録です。司会は西改。西政でも字面上、特に問題ないです。
この日の歌会は、山田さん、守嶋さん、渡邉さん、安錠さん、西改、そしてゲスト三名を迎えての歌会でした。
終わりごろ、雨に濡れた某師も来た気がします。

〈題詠「光」〉

駅前の大号泣を見送って観光名所にならない歴史/山田誠久
はじめは山田さんの歌から。言いたいことはなんとなくわかるけど、細かく考えると気になる点がいくつか。
自分には関係ない第三者の大号泣を見ているのだとしたら、動いているものに対してつかう「見送って」は少し無理があるのではないかという話や、さっき見た出来事に対して「歴史」という幅のある言葉を持ってくる点、「観光名所にならない」という独特な言い回しに少し違和感を覚えるかも、という意見が出ました。しかしながら、下の句の言い切ってしまう感じが一首の切なさのようなものを引き立たせる効果がありそうです。

理科室は遮光カーテンに護られてみんなが息を潜めた深海/西改美希
全体的に音が重たいという意見が出ました。二句目と結句がともに字余りであること、さらには二句目の「ンに」のn音の連続がもたれるとのことでした。確かに。「みんなが」がなんとなく小学生的で、授業で見た深海のビデオのことだったり、真っ暗な理科室全体が海だったりするのかなって話をしました。ああいうカーテンってなんか強そうですよね。

ペトラルカプノイマチズムパリトキシンポケットゴーファーすぐ発光せよ/安錠ほとり
みんなで苦戦しました。全然意味わかんないけど、音は工夫されていてパ行の音を集めながらリズムよくゴーファーに繋がる感じが好きでした。各単語の意味を調べてもこれといった意味は見いだせず、変身の呪文だったり、光らせる魔法だったりするのかなという結論に至りました。カタカナ語で十分スピードが出ていたので結句の「すぐ」のやわらかさがやや速度ダウンになってしまうのではないかという話も出ました。ちなみに、足りなかったピから始まる言葉は最後「ピカー」で解決らしいです。

光り物…つまり青魚はダメですと告げられ僕から光が消えた/渡邉瑛介
つまりがあるのに三点リーダーはいるのかという話がでました。今考えると、「青魚」もわりと抽象的な説明なので「つまり」の後にくるのは少し気になる点だなと思います。私は光り物と言われれば魚なのですが、まず浮かぶのは宝石だという人も一定数いて驚きでした。僕はどういう立場の人なんだろう…という話では君を寿司屋さんに連れて行こうとしていた人、僕はお寿司屋さんである、僕は光り物自身である、という意見が出ました。魚から光が消えるときは死んだ時だと思うのですが、魚が「もう食べられる準備をしたのに食べられないのか…」と息絶えながら思ってたらどうしよう。

このほか、鈴木さんとゲストでいらしてくださっていた神大短歌会の懶い河獺さんが歌を出してくれました。
いつの間にかリカちゃんがお母さんになっていた話とかして盛り上がりました。

〈自由詠〉
休日に水族館でぼーっとしてときどき歩く無給のバイト/安錠ほとり
一人で歩いている説、デートをしている説、子供を連れてきたお父さん説、ペンギン目線説などがあがりました。「ぼーっとしてときどき」のテンションが一人っぽくて、バイトというのもやりたいこととやるべきことの間みたいにとらえている主体のテンションを表しているのだと思い、私は完全に一人読みをしていたのですが、一人じゃない説がたくさんあがってなるほど…と思いました。
無給のバイト、とは一見だるそうに思えますが相手のことが大好きだからこその無給バイトであり、ぼーっとするんだそうです。某恋愛マスターより。


ほころびがあるなら今日というような春の一日を寝て過ごしたり/山田誠久
一読して、私は寝て過ごしたから今日がほころびになった、過去を振り返って自分の人生にほころびがあるとしたら一日寝て過ごしたあの日だったな、みたいな歌なのかと思いました。しかし、ちょっと起きてみて今日なんとなく自分ダメっぽい(今日ほころびっぽい)から一日寝てようと思って一日寝たという読みも出て、確かにこの流れのほうが歌の流れに沿っているなと思いました。正しい読みというのは一概には言えませんが、一人で読んでいるとなんとなく最初に思ったイメージで勝手に進めて歌を置いてけぼりにしてしまう癖があるので反省しました。
この場合の「ほころび」はおそらく「穴」のようなマイナスイメージだと思うのですが、言葉としては「顔がほころぶ」のようにプラスイメージもあるね、という話なんかもしました。

このほか懶い河獺さんと西改の歌がありました。


そしてなんと、この日歌会に来てくださっていた三名が正式に阪短に入会してくださいました!ありがとうございます。
詳しい情報は、いつか更新されるはずのホームページの会員紹介で。
ではでは。

プロフィール

阪大短歌会

Author:阪大短歌会
大阪大学の短歌サークルです。
メール:handai.tanka@gmail.com
twitterアカウント:handai_tanka

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